課題解決型ワークショップ「ベースキャンプ」を実施しました。
2021年3月13日(土)に令和2年度ベースキャンプを実施しました。本年はソニービジネスソリューション株式会社が提供するプログラミングツール「MESH」を活用したワークショップを実施しました。新型コロナウィルス感染症対策のため、実施を何度も見送り、活動内容を変更し、時間を短縮するなど、様々な工夫が求められましたが、前期課程の生徒24名が参加してくれました。
MESHとはプログラミング言語が不要であり、基本操作が非常に簡単であるにも関わらず、発想とプログラミングの工夫次第で様々なアイディアを形にすることができるツールです。プログラミングもアプリ上で完結します。プログラミングのハードルを下げることで、生徒たちの自由な発想を促し、何度も試行錯誤しながら自分のアイディアを形にしていく楽しさを実感して欲しいと思い、今回のワークショップを企画しました。
今回参加してくれた生徒の多くは「なんとなく面白そうだったから」、「もともとプログラミングに興味があったから」という動機でした。今回の活動に期待することは、という質問に対しては、ほとんどの生徒が「自分のアイディアを形にすること」、「プログラミングが日常生活でどのように使われているか知ること」、「いろんな人と交流し、問題解決を行うこと」、「今後の研究のために視野を広げること」と回答してくれていました。
活動内容は以下の通りです。
・練習問題に取り組む(二人一組)(30分)
・自分のアイディアを形にする(個人or二人)(2時間)
出てきたアイディアを整理するためのアイディアノートを用意
・作ったプログラムのプレゼン(25分)
・アンケート入力(5分)
MESHは7種類のセンサーブロックを使用してプログラムを組んでいくツールです。まずは使い方をマスターしてもらうために、本校で作成した練習問題に取り組んでもらいました。
今回作成した練習問題はこちらです。(MESH操作マニュアル.pdf)
その後、以下のテーマに沿って様々なアイディアを出してもらいました。
『あったらいいな を「デザイン」する 〜MESHを活用したSTEAMアイディアソン〜』
こちらからの指示は行わず、何を使っても良いということで、生徒には自由な発想でプログラムを書いてもらいました。
以降では、生徒が作成したプログラムの一部をご紹介します。
- 先生が部屋にいるかどうかを離れた場所から確認できる(中3)
- 部屋の雰囲気に合わせてBGMを再生してくれるデバイスの作成(中3)
- 学園祭での人数カウントや換気を自動で行ってくれるシステム(中2)
- お化け屋敷の人件費削減(中2)
- 湿度と温度からポテトの上がり具合を確認する(中1)
その他にも、以下のように様々なアイディアを形にしてくれました。
・叩き起こしてくれるアラーム
・雨の日に10分早く起こしてくれる目覚まし時計
・防犯グッズの開発(防犯ブザーや位置情報を親に知らせる等)
・天気の通知をし、熱中症の忠告をしてくれる機能
・カーテンを閉めたら自動的に閉まるシャッター
・寝落ちしてしまった時に、スマートフォンや部屋の電気を自動で消してくれる
・スマホを持たずに安全に「歩き遍路」ができる機械
・視覚障害者の方が駅のホームに来たときの注意喚起システム
・窃盗対策(閉店時間以降に人を感知すると写真を撮ってオーナーにメール)
・鹿の学校への侵入防止
・自動で気温、湿度を計測し、Googleスプレッドシートに記録していくシステム
多種多様なアイディアからArduinoと連携させるなどの専門的なプログラムまで、楽しみながら活動していました。自分のプログラムのアクションに対してすぐリアクションが返ってくるため、何度も試行錯誤を繰り返すことができるところが良かったようです。自分が作成したプログラムをプレゼンした際には、アイディアの面白さや有用性だけでなく、欠点やその改善策なども合わせて発表しており、大変意欲的に取り組んでくれました。
最後に実施した事後アンケートでは、今回の活動を通して「プログラミングへの興味関心」、「センサーなどを活用したIoTへの興味関心」、「周囲と協力して取り組む姿勢」、「試行錯誤し、粘り強く取り組む姿勢」などの項目について「向上した」と回答した生徒が8割ほどでした。また、今回の活動を通して必要だと感じた姿勢や能力については以下のような結果が得られました。
また、今回の活動を通して、プログラミングの考え方に変化があったかという質問に対して、
・授業で使用したMicro bitは難しく、抵抗感があったが、これはわかりやすくプログラミングへの抵抗感が減った。
・プログラミングは難しそうというイメージがすごくあったが、一つずつやっていくことでできるとわかった。
・複雑な文字列などをみて難しそう、専門的すぎるといった思いが強かったが、基礎的なことは誰でもわかる面白いものだという考えになった。
・簡単にできるよ というのは大体思った通りに行かない。
・プログラミングはアプリなどを用いる複雑なものだと捉えてしまっていたが今回単純なものでも組み合わせれば無限の可能性があって、より身近なものと感じるようになった!
・身近な物の中にいかにプログラミングが隠されているのかがよくわかるようになった。
・どんなハイテク機器も、ちょっと複雑なプログラムの集まりだと思うようになった。
・パソコンの動きだけではなく日常生活での実際の役立て方を学んだ。
というような意見が見られました。
いずれにしても、楽しかった、またやりたいという声が多く、今持っている知識を飛躍させて今後の生活の改善や研究への応用、作業の効率化などに繋げ、論理的に物事を考えるきっかけを与える良い機会になったのではないかと思います。
今回MESHを活用したベースキャンプを実施するにあたり、ソニービジネスソリューション株式会社には、機器の貸し出しからテーマの相談まで、多大なるご協力をいただきました。誠にありがとうございました。
アイディアを形にできるIoTブロック『MESH』とは何か、気になった方はぜひHPや公式のYouTubeチャンネルをチェックしてみてください。